ある蒸暑い夏の夜、男女数人でドライブをする事にした。
重たく湿った空気を、窓から流れ込む風で紛らわせ、行くあてもなく車を走らせていた。

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こうなれば言わずもがな、当然のように辛抱たまらず声が上がる。
「心霊スポットに行こう」
もはや反対する者はなく、不謹慎だと思いつつも好奇心が勝るヤツ、誰かが提案するのを秘かに待っていたヤツ。

皆、心霊体験をした事はなく、コンビニに買い物に行くような軽い気持ちで向かった。
現場はトンネルで、車から降りる気もなかったので、それも相まって恐怖心や危機感はなかった。


かなり有名な場所だが、他の車や人影もなく、適度に気分が高揚するには最高の条件だった。
しかし、それ以上の盛り上がりはなく、物足りなさを感じた。



何も起こらないことは覚悟していたし、それに超した事はない。
だが、わざわざ遠出して来た事もあり、納得いかんとばかりに何往復もしていた。
すると、遠くの方から赤い光が迫ってきた。

すぐにそれがパトカーだとわかった。
こんな時間に走り回っていたので、差し詰め近所の住民が苦情でも入れたんだろうと思って車を降りた。

警「こんな時間に何してんの?だいたい危ないでしょ!」
俺「すいません。有名な心霊スポットなんで来てみたんですけど、何にも起きないんでウロウロしてました。でも、たいしてスピードも出してないですし、そこまで迷惑かけてないと思うんですけど。」
警「あのねぇ・・近所の人から苦情が来たんだよ。上に人乗っけて走り回ってる車がいるって。」
俺「えっ!?そんなことしてないですけど??」
警「隠さなくてもいいよ。帰ってくれれば何もなかったことにしてあげるから。
  通報者は上の人と目があったって言ってるんだよ。ニヤニヤしながらこっち見てたって。
  遊んでたんでしょ?」
俺「・・・!!」

警察官は、絶句した俺を見て、観念した様にでも見えたのだろう。

警「わかったね!早く帰るんだよ!」
俺「は、はい・・・」

急いで車に戻った俺は、一言も発せずにその場を離れた。
しばらくして落ち着きを取り戻した俺は、皆に全てを話した。
それ以来あのトンネルは避けるようにしている。 


 
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