ここ見たら二度と思い出したくない気味悪い話を思い出してしまった…。勇気を出して書いてみる。
数年前山梨の奥地へサバゲ兼ねてキャンプに出掛けた時の話。
俺達は6人で、友人のワンボックス1台、俺は250のオフロードバイクで自走して出掛けたんだ。
キャンプを張った2日目の午後、周囲の状況が掴めたところで、ゲームが始まった。ルールは2人が犯人役になり山に逃げ、時間を置いて俺達4人が追い掛ける、山狩りゲーム。
ゲームを盛り上げる為、俺はバイクを持ち出して2人を追ったんだ
キャンプの50M程離れに私道らしい林道が走っていた、そこは錆びたゲートが閉じていたが、両端を摺り抜けて先に進めた。
山で迷う恐れがあったので、事前に決めた大まかなルールとして、この林道を中心に左右100M、キャンプから確認できる約500Mまでをフィールドとしてゲームを始めた。
バイクで追い立てつつ、MP5を片手撃ちしたり、逆に待ち伏せされて撃たれたりして楽しんでるうちに、
何ゲーム目かで2人のうち片方の友人Aを追って大分先の方まで来てしまった。
キャンプは遥か彼方で、木立が深く、日が落ち始めていた。
その時視界の外れに黒いBDUを着たAが見えた。
ヒャッホーと奇声を上げてバイクのアクセルを捻って追い掛けた。
そしてAを追って茂みにバイクを乗り入れた。が、間もなくぬかるみに車輪をとられ横転した。
ズブズブタイヤが嵌まっていくのに苦戦して、思わずAを呼ぶ。
「お~い、ちょwwwおまwww手伝えや」
先を見ると沼地になっていてAがいない。なんて薄情な奴だ。
ホイルにはツタの枝まで絡まっていて、バイクを起こすには苦労した。
5分位格闘した頃、急に風が吹いて思わず顔を上げた。その時初めてもう大分日が暮れて、肌寒くなってきたのに気付いた。今日はもうゲームは終いだな。
そして沼の向こうにいつのまにかAが立っていた。
Aは俺がスタックしたのを見て、工具を持ってきてくれたのかも知れない。そう思って奴を見上げたが、何か違和感を感じた。
確かAは黒い服を着ていたはず、それは間違いない。現に沼の向こうにいるAらしい人影も黒い服を…
…あれは服か?何と言うか全身タイツ?輪郭は確かに人だ。
…人?人の頭はあんなに首がなくて短いものか?それに大人の背丈とは思えない。立っている、というより地を這っているような…
??アレは人なのか??
そう思った時何故かそいつがニヤリと笑った気がした。実際に口を開けたのが見えた訳じゃなくて、笑った気配を感じた。
よく恐怖を「寒気がする、身の毛がよだつ」と表現するが、それは違うと思う。俺は締め付けられる様に息苦しくなって喉が渇き始めた。
「うわやばいよやばいよこれはやばいってこれわ」
ホイルに絡まったツタを思い切り引っ張ったので、指をスプロケの歯で深く切ってしまったが、それどころじゃない。
キックしてエンジンを掛けようとしたが冷え切ってなかなか掛からなかった。
何発目かで掛かった時、逃げる前に怖いもの見たさでアレを一目見ようと思ったが、体が言うことを聞かなかった。
今度は姿が変化してたり、鮮明に見てしまう気がしたから。
そう思った時、またあのニヤリという感じがした今度は物凄くはっきり感じた。
近づいてる!
俺は何か叫んでたと思う、叫びながらバイクで逃げ出した。
友人5人は無事で俺を待っていた。
見たものを話すと、友人Bも青ざめた顔でアレを見たと言う。たちまち恐怖が伝播し、一刻も早くその場を離れようと、皆道具を片し始めた。
辺りは闇になって視界が悪く、焦りと恐怖で無言になっていた。
散らばった食料や細々した道具まで回収する余裕はなく、殆どそこに置いて来てしまったと思う。
5人が車に乗り込んで先に走り出したとき、心細くなった。
カッコつけないで皆と一緒に車に乗ってくれば良かった…
砂利道の林道を気を保ってバンの後についていくと、車が避難所の辺りでブレーキを点滅させて減速した、と思ったら猛スピードで加速した。
…車のライトに照らされたガードレールの向こうに真ん中が真っ暗く凹んだ大きな白い顔が浮かんでいた。
今度はニヤリという感じじゃなく、はっきり悪意のようなものを直感した。
そこで転倒しなかったのは、我ながら奇跡だった。今考えるとそれがアレの狙いだったかもしれない。
あそこで転んだら崖下に落ちていたかもしれないし、落ちなくてもあそこに残されたら…
なんとか明かりの燈る舗装された国道にたどり着き、走り続けて観光客で賑わう道の駅の広い駐車場に入って一息ついた。
俺達は市街地まで降りて健康ランドに泊まり、翌朝地元に帰った。友人達はあそこで俺を置いて逃げ出した事を詫びた。
今もその中の3人とはサバゲで遊んでるが、人里離れた山へキャンプには行かなくなったしバイクにも乗らなくなった。
アレは何だったのか?あの沼はロープで囲われて、地元消防署と役場の名前で「きけん」と真新しい看板が立っていた。
きっと事故があって、その時のなにかがまだあそこにいたんだと思う。
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