ある夏にあった話 

俺は山奥にある、打ち捨てられたホテルでゲームをしていた 
もちろん許可なんて取ってなくて、十年以上も昔に潰れてんだからいいだろなんて勝手な理由を付けて遊んでいた 
そんな感じでゲーム開始 
俺は友人と一緒に長い廊下を慎重に進んでいた 


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廊下の奥から、撃たれたら避けようがないからだ(当然だが遮蔽物は一切なし) 
すると奥に妙な光が見えた 
妙な、というのはもちろん理由があって、フラッシュライトのそれではないし、そもそもフラッシュライトをつけるほど暗いわけでもないからだ 
違和感を覚えつつ、とりあえず撃ち込んでみるが反応なし。先述のとおり避けようがないから当たっているはずなのだ 





この時、仲間内で遊んでいたからゾンビはありえない。ゾンビする奴なんていないからだ 
そこで、声をかけてみるが無視される 
なのに、光は近づいてくるのだ! 
ゆらゆらと揺れながら、である。 
少しビビりながら友人と止まっていたのだが、光が近づくに連れ正体がわかってきた 
正体といえるのか微妙だが、黒いモヤモヤの中で光が揺れているのだ 
これはヤバイと直感し走り出す俺達


 相当な速さで走っていたと思うが、黒いモヤモヤも同じくらいのスピードで追いかけてくる 
いや、それ以上のスピードで徐々に差を縮めてくる 
俺も友達も半泣きになってションベン漏らしてたと思う 
うわーぁ!!と、大人が絶叫 
少しでも体を軽くするために壊れることを厭わず電動ガンを捨てる 
ガシャン、と嫌な音がするが気にしてる場合ではなかった 
黒いモヤモヤはどんどん速さをまして近づいてきて、もう近くにいた 
そして階段に差し掛かった時、友人がとんでもない行動に出た 
俺を突き飛ばしたのだ 
転びそうになった俺は思わず立ち止まってしまう 
本能的に振り返ると、そこには黒いモヤモヤが… 
ひどく悲しい気持ちになりながらも、その光が美しく見えるという変な心境であった 
もうダメだ終わった死ぬのかと思ったら、突然、大丈夫かー、と気のぬけるような声が聞こえた 
他の仲間が悲鳴を聞いて声をかけてくれたのだ 
その声で我に返ると、黒いモヤモヤは消えていた 
恐らく、あの気持ちは向こう側と同化する兆候で、俺はとり殺されそうになっていたのではないかな、と 
そこに現世の声が聴こえた事で戻ることができたのかもしれない 
俺を突き飛ばした友人には今でも恨みを忘れておらず、あの出来事から疎遠になって今では音信不通 
風の噂で病気になって死んだとか 
この事とは関係ないと思うが 
幽霊より人間のほうが怖いというオチ




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