僕が初めて「金縛り」にあったのは小学5年生の遠足のあった日だ。 
疲れてベッドで眠ってしまい、夕食の頃目が覚めたときだった。 
部屋の中が見え意識もしっかりしているのになんと「体が動かない」。でもってよく考えると「息もできない」。 

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恐怖に包まれた僕は「おかぁさ~ん」と叫ぼうと思ったが「声も出やしない」。 
そのうち、いつの間にか「目が覚めたように」体が解放されて息ができるようになっていたが、完全に元に戻るには多少の時間を要した。 
僕は今おきた出来事を母に話した。すると母が言うには「それは金縛りよ」だった。 ん? 「金縛り?」 
しかし僕の金縛りの体験はそれ一度きりでは終わらなかった。 
むしろ、年をとるにつれて頻度が増して行き高校生時代と札幌で浪人した一年は「くせ」になっていた。 





夕方くらいになり、なんとなく自分の回りの「空気」が違っているのを感じるようになり「あぁ、今日は金縛りにあうな」というのがわかるのだった。で、案の定金縛りにあう。 

最初はただ単に息ができなく体が動かず苦しいだけだったが、その後何かしらの妙な体験がまざりあうようになってきた。 
ある時僕はまた金縛りにあった。その頃は慣れたもので「あぁまたか」ってな感じで抵抗せずひたすら金縛りが解けるのを待つようにしていた。 
とはいっても「意識があるのに息ができず体が動かない」というのは大変苦しく恐怖でもある。 

その時はじっとしていたのだが、突然自分の体が宙に浮かび上がり、おへそを中心にヘリコプターのようにクルクルと回り始めたのである。 
僕はタンスにぶつかりそうになり「危ないっ!」っと思うのだが僕の体はそのタンスの中をスーッと通過してしまったのである。 
僕はクルクル回りながら部屋を移動していったのだが、頭の中はパニック状態。そして、やがて「目が覚めるように」金縛りがとけたのです。 


不思議なもので金縛りの間は意識があるつもりでも、あとになって考えると決して正常な思考状態ではないように思われるのです。 
金縛りが解けた瞬間が目が覚めたような感覚なので、現実と夢との境界がつきません。 
金縛りというと、必ずといっていいほど「体外離脱」だとか「幽体離脱」とかいった話がつきまといます。僕の経験もその後そちらの方へと進んで行くのでした。 
金縛りとそれにまつわる奇妙な体験を幾度となく経験した僕は、金縛りの間に起きていることが夢なのか現実なのか、白黒はっきりさせたくなりとある実験を思いつきました。そしてそのプラン「夢か真かどっちなんだ計画」を実行に移す絶好の機会がやってきました。 

そしてそのプラン「夢か真かどっちなんだ計画」を実行に移す絶好の機会がやってきました。 
その「絶好の機会」がやってきたのですが、その前に「色々な奇妙な経験」の中からもう一つお話ししましょう。 


その日も僕は金縛りにあいました。その頃は体がヘリコプターのようにクルクル回ることが多々あったので、ひたすら何も起こらないようにと「ジッ」としていたのです。 
金縛りの最中はとても苦しいので、金縛りが解けた時は(かなり力がいるのですが)頑張って起きあがり、息を整えて正常な状態にもどすのが日課(?)になっていました。 

僕は、もうそろそろ体が動くのではないかと思い、時々上体を起こそうとしますが、たいがいは体は動きません。 
ところがその時、 「ふわっ」 と上体が起きあがったのであります。 
「ああ、金縛りが解けた」と思った僕は手をついて下かがみになったのだけど、思わず僕は「ぎょっ」としました。だって「自分の顔」が見えたのですからね。 

「そ、それは幽体分離だ」と思う人がいるかもしれません。その頃僕もそう思ったんですよ。学校に行って友達に話したらずいぶん「羨ましがられた」ものでした。 
ただ、訳が分からないのは自分の顔が見えて驚いた直後「目が覚めた」感覚になるんですね。 
その時は多少ボルテージが上がっていて「い、今のは・・・」なーんて思うのですが、時間が経つと「あれはやっぱり夢だったのかなぁ」って気持ちになるのです。 
そんな事があったりしたものだから、僕は「夢か真か白黒ハッキリさせてやろう」と、とある実験を企画しそのチャンスを待っていたのでありました。 
で、その時が来たのであります。 






僕は試験があると、一度寝てから9時頃目を覚まし「深夜ラジオ」を聞きながら勉強するのが常でした。(年がばれますね) 
その日は台風が来ていて嵐の夜でした。外からバタバタという風の音が確かに聞こえていました。 
で、僕は勉強前の仮眠で布団に入っていたのであります。でもって「今日は金縛りにあう」予感がたっぷりの日でした。(わかるんですよ) 
そして、僕の目の前には照明付きの時計がありました。 
「よーし、耳は聞こえている。目は見えている。 
これが夢であるわけがない」その確信を失わないように「僕は間違いなく目が覚めているぞ、さぁ、いつでも金縛りになってみろ」 と、実験が開始したのでありました。 
耳には最新の注意を払い、時計から目を離さないように、全神経を集中させて金縛りになるのを待ちました。 


とにかく、金縛りで見る物が幻なのか現実なのかをはっきりすべく「目は見える、耳は聞こえる」状態でとうとう金縛りになったのであります。 
この絶好の機会に「今は間違いなく起きているぞ」と自分に言い聞かせながら、まずは金縛り状態であることを確認しました。 
すると確かに体は動きません。目は時計を見ていて、耳には電話で母が話す声などが聞こえています。 
「俺は起きているぞ」と自分に言い聞かせつつ、僕は左手を上げようと思いました。 
この間のように、上体がもちあがって自分の顔が見えたなんていったらシャレになりませんので、まずは左手から・・・と思ったのです。 
肘から先を上げようと力を入れると、思ったより簡単にスーッと手が持ち上がりました。 
と、その瞬間・・・ 


と、その瞬間・・・ 
肘にとてつもない激痛が走ったのです。 
その後の事はパニックで、あまり良く覚えていませんが、あわてて上げた手をおろし、いつもの金縛りの苦しさの中で、動かないからだと息苦しさとの格闘だったように思います。 

僕の記憶では、当時このように結論づけていました。 
あれは、肘から先の霊体の部分だけが肉体から離れた状態となり、その時点で金縛りが解けたために、その接合点である肘の部分に激痛が走った・・・。 
そのように確信していましたが今はもう遠い昔の思い出でなんだったのかはわかりません。 
その後もたびたび金縛りにあいましたが、抵抗することはせずジッとしていることにしていました。 
・・・・・ 
やがて私は高校を卒業して、札幌予備校に入学しました。 
その札幌で浪人していた時に住んでいたアパートでは、金縛りの最中にもっと恐ろしい体験をしました。 


そのアパートは入るとき、すごーく嫌な気持ちがしましたが、向かいが叔母さんの家で私に選択の余地はありませんでした。 
その日、空気がどよーんとしていて、今日も金縛りかぁと半分あきらめムードでした。 
案の定ガクッと金縛りに入りました。その頃はガクッと入るようになっていました。 
その瞬間「ギャー」っという女の叫び声が聞こえてきました。 
キャーではなく、ギャーです。例えが難しいのですが、肉体を切り裂かれる時に出すような、そんな叫び声でした。 
僕は恐ろしくて恐ろしくて仕方がありませんでしたが、耳をふさぐことも出来ず、ただひたすら金縛りが解けるのを待ちました。 
この恐ろしい経験は数十回に及んだと思います。 


その中でもっと恐ろしい経験をしました。 
その頃金縛りに会ったとき、早く金縛りが解けるように全力で起きあがろうとしていました。 
とにかく上体を起こして息を整えて正常に戻らないと、すぐさまガクッと連続的に金縛りに入るのでした。 
その夜金縛りにあった私はいつものように女性の「ギャー」っという声におびえて目をつむり金縛りを解いて起きあがろうとしました。 
そうして力を入れて目を開けたとき、なんと血だらけの女の顔が目の前に飛び込んできたのです。苦しそうにもがいていました。 
その後のことは覚えていません。いつものように金縛りが解けたときは目が覚めたときの感覚でした。 
ですから、時間が経つと夢だったのかと思えなくもありません。 

以上、実話です。 
金縛りに関する怖い経験はまだまだありますが、一番怖かったのを紹介しました。 




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