小学校低学年の時、家族で行った旅行先で、自分だけ白い服を着た女性を見た。

20年近く前、父親と母親と自分の3人で旅行した時の話。
小学校低学年だった自分は春休みだったため、新学期前に旅行に行こうという話になった。
車で山道を進んでいくとポツンと集落があり、そこの廃校を改装した民宿が宿泊先だった。
コンビニはもちろんなく、集落に来るにも出るにも車が必要なくらいなの田舎だった。
着いた初日は、川のハヤを獲る仕掛けを作ったりして、とても楽しかった記憶がある




問題は2日目の朝。
自分は朝6時前くらいにふと目が覚めた。
親はまだ寝ていたが、昨日のハヤの仕掛けに魚がいないか気になり、1人で見に行くことにした。
民宿を出て、川を目指して1人歩いていくと、駐車場の縁石に女性が座ってた。
まだ冷え込む時期で自分はセーターを着ていたが、その女性は真っ白なワンピースにサンダルを履いていて、
今思えば不自然な格好だったと思う。


思わず立ち止まって女性の方を見ていると、女性が無言でこちらを見てニコッと笑った。
こっちから何か話したような気がするが、女性は何も喋らずただ笑顔だった。
そのまま駐車場を後にし、昨日仕掛けた罠の所に向かおうと川の沿道を下ったが、
道を間違ってしまい、人気のない獣道みたいなものを辿ってしまった。
仕掛けが見つかることも無いまま、蜘蛛の巣を被って泣きながら帰る道を探していると、
急に誰かが呼ぶ声がしてきた。
その声は父親のもので、起きたら部屋にいなかったため、
仕掛けを見に行ったのでは無いかと民宿の人達と探しに来たのだという。
その後、仕掛けを見て魚が入っていたことに喜びながら、民宿に戻った。
その途中、先程通った駐車場にまだ先程の女性がいて、あの人が自分の場所を教えてくれたのだろうと深く頭を下げた。
女性は再び笑顔をくれた。

そんな話をつい最近父親とする機会があったのだが、
父親は「あの時お前、何度も女の人がって言ってたけど、そんな人どこにもいなかったぞ。」と笑いながら言った。
そんなはずは無い。なんなら帰り道で父親といる時に会ったと言ったのたが、
「あの日、地元の人とうちの車以外あの村にはなかったよ。あんな山の中歩いても来れないでしょ。」と言われた。
最近その場所が気になってバイクで20年振りに訪れたが、近くの町までもバイクで30分はかかる場所で、サンダル歩いて来れる場所ではなかった。
となれば、あの時見た女性は何者だったのだろうか。




 
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