夜中、新耳袋を読んでいた時のことです
第一夜から読み進めて、第八夜を手に取った頃、深夜一時を回っていました
とうとう。開いてしまいましたね。
第八夜も京極夏彦さんの文章から始まりました
これは全巻共通の上文なのですが、パターンを繰り返すことは儀式と似ています
最初はああして、次にこうして、最後にそうする……これに則って行動している内は守られていると思うのです
さておき、新耳袋の第八夜は特殊な形を取っています
即ち第三章「うちにまつまる話」の各話に第何々話の表記がなされていないのです
これは今までの新耳袋と気色が違う、違うのですが、別段気にする事なく最後まで読み進めました
一時間も経った頃、あとがきが始まりました
私は少し油断していたのだと思います
第九十九話の文字を見ていなかったから読み切ったという実感がなかったのでしょう
私は本の最後まで読む事なく、第八夜を閉じてしまいました
本を戻し、顔を洗おうと部屋を出ました
さて、オカルト好きな諸兄には今更なお話をさせて頂きますと、
お風呂場で髪を洗っている時、後ろに気配を感じても顔を上げてはいけない
このような逸話があります
そうした時、それは上に居るとオチがつくのですが……私にはそんな体験がありません
顔を洗う為に入ったお風呂場で、精々怖い場面を思い出しながら、背後に気配が出るのを待ちました
……ものの数秒で気配を感じます、貞子のように髪を伸ばした亡者が恨めしそうに立っている映像が浮かびます
ぱっ
上を見ました……何も居ません、悲しいです
「怖い話をしてると寄ってくるというのも嘘なのだな」と思いながら部屋に戻り、第九夜を手にチェアへ腰掛けます
とうとう。
上文が始まって束の間、「イ゛ィッ!!」と叫び声を上げて、組んでいた両足を蹴りあげました
デスクの下、身体を折り畳む様にして座っている男が、私を見上げてニヤニヤと笑っていたからです
渾身の力で蹴り上げた両足がどう作用したのか分かりませんが、次の瞬間に男は消えていました
現在、見聞きすることが少しずつ増えてきました
パターンを破ってしまったという思い込みからなのかは分かりませんが、見聞きしない生活の方がいいな、と思います
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